あなたのお財布の10円玉。つくりたてほやほやだとピカピカですが、大抵くすんだ茶色ですよね。最近は錆びにくいステンレスやアルミなどが広がってきましたが、金属につきものなのが「さび」。
そもそもなぜ金属は錆びるのでしょうか。それは、金属が単体でいる状態は自由電子(反応するエネルギーのようなもの)を持っていて、とても不安定な状態だから。
水や酸素、他の金属などと触れると、反応して安定な状態(=金属酸化物)になります。これが「さび」です。
参考)
・日新産工株式会社「鉄が錆びる原因やメカニズムは?錆の防止方法も解説!
・新日鉄住金「さびを科学する」季刊 Vol.23 p.12-15
ではなぜアルミニウムやステンレスは錆びにくいのでしょうか?
それはすでに薄い「安定した被膜」を形成しているから※1。
※1 ステンレスは鉄にクロムやニッケルを加えた合金。クロムやアルミはち密な酸化被膜(不動態被膜)を形成するため、安定な状態を保ちます。
参考)
そう、つまりこの「安定した酸化被膜」がさびを防ぐキモになります。
「ガラス」は超安定した酸化物
私たちの身近にもある「ガラス」ですが、この主成分は「二酸化ケイ素(SiO2)」という「酸化物」です。この酸化物はエネルギー的に安定しているため、ガラス自体が反応することはめったにありません。なので、化学実験のフラスコやビーカーにも使われています。
みなさんも、窓ガラスが錆びたり変質しているところは見たことないですよね。
つまり、この超安定な「ガラスの被膜」を人工的に作ってしまえば、「半永久的に錆びない」ということになります。それがクリスタルプロセス社の「無機質ガラス塗料」です。
無機質ガラス塗料の特徴
1.錆びない被膜を形成する
前述したように、一番の特徴がこれです。
下の写真はガラスコーティングを施していない面(左半面)と施した面(右半面)に塩水をかけたものですが、その差は一目瞭然。この記事のトップの「さびない」の文字も、文字の部分にコーティングを施しています。

2.ガラスに着色塗装できる
意外と目を引くのが「ガラス塗装」。ガラスを含む塗料なので、もちろんガラスとも親和性が高く、ガラスにも塗装することができます。
「ガラス塗料なのに透明じゃないの?」と思うかもしれませんが、無機質ガラス塗料の中に、顔料をナノ分散させることで着色を可能にしています。透明性を維持した「透け感」のある塗装だけでなく、不透明な塗装も可能。
下の写真はガラスに塗装したもので、文字の部分をマスキングして塗装することで「透明な文字」の仕様も可能に。こんなおしゃれな看板も塗装で手軽にできちゃいます。

3.プライマーがいらない
塗装に詳しくない人はピンとこないかもしれませんが…
通常、塗膜をきちんと密着させるには、「プライマー」という下地が必要です。メイクで言う「化粧下地」のようなものです。
でもこの塗料はそのプライマーが不要で、しかも1液性なので、面倒な混合処理もいりません。
※ただし、上に一般的な塗料を重ねて塗ることはできません。(はじきます。)
4.常温乾燥でOK
熱硬化型ではないため、常温乾燥でOK。大がかりな乾燥設備が不要になります。
被膜形成反応のため、完全硬化までは1週間かかってしまうそうですが、温湿度コントロールにより多少調整は可能とのこと。
5.高い耐候性
無機質被膜は紫外線や酸性雨などの影響を受けないため、野外でも酸化劣化しません。そのため、外壁の防汚性・防水性の向上やチョーキング防止の用途があります。
また、1年間屋外に暴露した耐候促進試験でも、色目の変化はほとんどありませんでした。(市販のカラーフィルムなどではほぼ別の色になってしまいます。)
さいごに
技術的にかなり面白い材料である「ガラス塗料」。今後の用途拡大に注目したいです。
「こんなことに使ってみたい!」などアイデアあればコメントお願いします。
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