ゴムと樹脂の両方の物性を持たせる技術「SUSYM」――ブリジストン

”SUSYM”とはどんな材料か


 ”樹脂”は「固いが、強い力を加えると割れてしまうもの」、ゴムは「しなやかで弾性変形を持つもの」―――これまでの常識はそうでした。

しかし、ブリジストンから、これまでの常識を覆す新素材が発表されました。

その名も「SUSYM

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2019101601.html

 この材料は、ゴムのしなやかさと樹脂の強さを両立しつつ、任意の比率で結合させることにより、それぞれの特性を自在に引き出すことができます。

 一体モノであっても、希望の比率で樹脂とゴムを結合させたペレットを用い、部分的に物性を調整できるとのこと。

第46回東京モーターショー2019  ブリジストンブースにて展示されていたサンプル

 東京モーターショーでは、トップ画像にあるように、SUSYMを使用して「タイヤを一体成形する」というコンセプトを展示していました。

 ですがブリジストンHPでも記載しているように、この技術はタイヤに限らず様々な分野で付加価値をつけることができる、革新的な材料であると言えます。

SUSYMに期待できる価値


■ぶつけても凹みが戻る!?バンパー

 現在、クルマのバンパーに樹脂が使われていますが、樹脂は「硬くてもろい」ため、クルマをひとたびぶつけるとバンパーは変形し、ひどいときには取り付けている部分が割れ、うまく取りつかなくなってしまいます。

 そんな時、バンパーが「ゴムのしなやかさ」も持っていたらどうでしょう。ゴムのいいところは、「局所的に強い力を加えても壊れにくい」こと。衝撃を吸収した上で、弾性により形状が戻る、という特性を持たせることもできるかもしれません。

■軽量化材料”カーボン”を車体に使用した場合の安全性向上

 軽量化材料として注目されているカーボン材料(カーボン繊維に樹脂を含侵させたCFRPなど)は、現在ボーイング社の飛行機の車体にも使用されており、将来的に”空飛ぶクルマ”が実現する際には必要不可欠となる素材と考えられます。

 そんなカーボン材料も、樹脂で固めて造っています。極端に外板すべてをカーボン材料にした場合、「硬くてもろい」樹脂であるために、事故時にはフレーム・外板が”割れて”、運転者・歩行者へ危険を及ぼすこともあるかもしれません。

 それをこの材料で置き換えれば、フレーム・外板に「しなやかさ」を持たせ、「仮に衝撃を受けても割れない」カーボン材料を実現することができるかもしれません。

■再生・補修機能を持つ材料

 樹脂(熱可塑性樹脂)って、熱をかけると溶けて、冷やすと固まりますよね。

そんな樹脂とゴムを結合させることによって、「熱を加えると簡単に壊れた箇所を治すことができる」ゴム材料の実現が期待できます。

 前章で「SUSYMを用いたタイヤ」のコンセプトを紹介しましたが、この材料をタイヤに使用した場合、パンクしても「熱を加えると簡単に補修できる」ということになります。

■ゴムの足りないところを補う――低温にも強いゴム材料(低温耐衝撃性)

 ゴムは一般的に、冷やすと硬く・もろくなってしまいます。(冷やすと、輪ゴムも伸びが悪くなり、ブチっとちぎれてしまったりしますよね。これはゴム分子同士が凝集し、分子の運動性が悪くなることによります。)

 一方、「SUSYM」は樹脂が結合に含まれることにより、凝集を防ぎ、低温でもしなやかさを保って壊れにくくなっています。これにより、「SUSYM」は低温で使用される素材として役立つ可能性があります。

 

■さいごに

今回取り上げた”SUSYM”はまさに「これまでの常識を非常識にできる技術」。

自由な発想で、新たな価値を作ることができたら、と思います。

 

■関連記事

分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴムの合成に成功 (2016年12月13日 ニュースリリース)

https://www.bridgestone.co.jp/corporate/news/2018051702.html

 

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